1.制度制定の背景
近年、製造業を取り巻く経済環境は急速に変化している。特に顕著なのが、エネルギー価格の高騰と原材料費の上昇である。これらの要因が製造業各社の収益性に深刻な影響を及ぼしている。
具体的には、日本銀行の企業物価指数(CGPI)によれば、2023年の製造業関連の原材料価格は前年比で約10%上昇している。特に、金属製品や化学製品における上昇幅が顕著であり、多くの製造業者にとって大きな経営課題となっている。
このような状況下、製造業各社は原価管理の厳格化や価格転嫁を余儀なくされているが、国際競争力の維持の観点から、より抜本的な対策が求められている。そこで、本補助金制度は、製造業の競争力強化と持続可能な産業構造の構築を目的として制定された。
2.補助金の概要
本補助金制度は、以下の4つの主要な対象事業を支援する
1) 省エネルギー・省コスト化につながる設備改修
例:高効率ボイラーの導入、LED照明システムへの更新
2) 生産ラインの自動化などの生産プロセスの改善
例:産業用ロボットの導入、IoTセンサーネットワークの構築
3) 将来を見据えた事業の新展開に向けた設備改善
例:新素材開発のための試験設備、医療機器製造ラインの導入
4) 上記(1)~(3)の事業を効果的に実施するためのコンサルティング
例:エネルギー診断、生産システム最適化コンサルティング
これらの取り組みを通じて、県内製造業の付加価値生産性(一人当たり付加価値額)を向上させ、中長期的な産業競争力の維持・向上を図ることが本制度の目的である。
3.補助上限額と補助率
本補助金の主要な条件は以下の通りである
補助上限額 | 2,000万円 |
補助対象経費の下限 | 500万円 |
補助率 | 1/2 |
つまり、500万円から4,000万円の範囲内の設備投資等が本制度の対象となる。(4,000万円以上は補助上限額に達しているため補助額が2,000万円となる。)
この設定には、中小製造業の一般的な設備投資規模を考慮し、実効性のある支援を行うという意図がある。
なお、補助金の額に1,000円未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとする。
4.補助金申請から事業完了までのスケジュール
本補助金制度における主要なスケジュールは以下の通りです
- 申請は先着順で受け付けられます。
- 予算の上限に到達次第、受付は終了します。
書類審査が主となりますが、必要に応じてヒアリングが行われる場合があります。
交付決定通知:審査完了後、速やかに通知
- 重要:交付決定日前に発生した経費は補助対象外となります。
- 設備の発注、納入、支払いなど、全ての事業活動をこの期間内に完了させる必要があります。
- 事業完了後、速やかに実績報告書を提出する必要があります。
- 報告書には、事業の成果、支出の証拠書類等を添付します。
県の担当者が現地視察を行い、設備の導入状況等を確認します。
確定通知に記載された金額に基づいて、補助金を請求します。
必要に応じて状況確認等に協力いただく場合がある。
5.申請方法
申請に必要な主要書類は以下の通りである:
1) 補助金等交付申請書
2) 事業計画書(様式第1号)
3) 収支予算書(様式第2号)
4) 納税証明書(県税に未納がないことの証明)
5) 過去2年分の決算書
6) 予算積算の根拠となる見積書、機器等の概要が分かる資料
申請の流れ:
- 書類準備:上記書類を準備する。特に事業計画書には、具体的な数値目標や期待される効果を明記することが重要である。
- 提出:準備した書類を以下の宛先に郵送または持参する。
宛先:〒880-8501 宮崎市橘通東2丁目10番1号
宮崎県商工観光労働部 企業振興課 工業・情報産業振興担当 - 受付開始日:令和6年7月16日(火)から随時
※予算の上限に到達した時点で受付を終了する。 - 審査:提出書類に基づき審査が行われる。必要に応じて追加のヒアリングが実施される場合がある。
- 決定通知:審査結果に基づき、採択(交付)または不採択の決定通知が送付される。
- 事業開始:採択(交付)の通知を受けた日から、事業の実施(設備機器等の発注等)が可能となる。
重要な注意点
- 交付決定の日以降に事業に着手し、令和7年2月28日までに事業を完了させる必要がある。
- 交付決定日までに既に着手している事業は、補助の対象とならない。
本制度は、エネルギーや物価の高騰により影響を受けている県内ものづくり企業にとって、競争力強化の重要な機会となる。適切な事業計画の立案と迅速な申請により、この機会を最大限に活用することが望ましい。