今回は、東京都が実施している「成長産業分野への事業転換に向けた製品開発支援事業」について説明します。この制度は、都内の中小企業にとって非常に魅力的な支援策です。
事業の目的
この制度の目的は、都内の中小企業が新しい成長産業分野に挑戦するのを後押しすることです。急速に変化する市場環境の中で、新しい分野に挑戦する企業を応援し、事業転換や新市場進出を支援します。
対象となる中小企業
以下の条件を満たす中小企業が対象となります
- 都内に本社や事業所がある
- 製品やソフトウェアの開発・改良を検討している
- アドバイザリー会議で「事業の可能性がある」と評価されている
アドバイザリー会議について
アドバイザリー会議は、この助成金申請の重要なステップです。
- 目的:事業アイデアの可能性を評価する
- タイミング:助成金申請の前に行われる
- 重要性:ここでの評価が助成金申請の資格となる
注意: アドバイザリー会議の受付は助成金申請の締切よりも早く終了します。申請を検討している場合は、まずアドバイザリー会議の日程を確認し、早めに準備を始めることが重要です。
これから申請する事業者様は助成金の申請期間は2月上旬ですが、10月下旬~11月上旬に開始されるアドバイザリー開始に申し込む必要があります。
(毎回間違ってしまい、申請できない事業者様が一定数発生します。)
助成金の概要
助成対象事業
以下の事業のうち、成長産業分野への参入や事業転換を目指すものが対象となります
- 新製品の開発
- 既存製品の改良
- 新しいソフトウェアの開発
- 既存ソフトウェアの改良
助成限度額と助成率
助成対象期間
交付決定日から1年6か月以内です。約1年半の間、じっくりと開発に取り組むことができます。
助成対象経費
- 原材料・副資材費: 試作品製作に必要な材料代
- 機械装置・工具器具費: 開発に必要な機械や工具の購入費、リース代
- 委託・外注費: 社内でできない部分の外注費(主要部分は自社で実施が条件)
- 産業財産権出願・導入費: 特許出願等の費用
- 専門家指導費: 専門家からの指導・アドバイスに係る費用
- 直接人件費: 開発に直接従事する従業員の人件費(上限あり)
- 広報販促費: 展示会出展費用や広告費(単独での申請不可)
注意すべき点
経理処理: 助成事業の経費は通常の経費と分けて管理する
達成目標の設定: 現実的かつ具体的な目標設定が重要(目標未達成の場合、助成金は支給されません)
経費の支払い: 原則として銀行振込で行う
助成対象期間: 交付決定日以降の支出のみが対象
助成対象経費
対象となる経費の種類
- 原材料・副資材費
試作品を作るのに必要な材料代です。 - 機械装置・工具器具費
開発に必要な機械や工具の購入費、リース代が対象です。高額な設備投資もこれで賄えるかもしれません。 - 委託・外注費
社内でできない部分は外注もOKです。ただし、丸投げはダメです。主要な部分は自社でやる必要があります。 - 産業財産権出願・導入費
特許出願の費用も対象になります。 - 専門家指導費
難しい部分は専門家の力を借りられます。有効に活用しましょう。 - 直接人件費
開発に携わる従業員の人件費も対象です。ただし、上限があるので注意が必要です。 - 広報販促費
展示会の出展費用や広告費も含まれます。ただし、これだけの申請はできないので気をつけてください。
注意すべき点
- 達成目標の設定が重要です
目標を達成できないと、一銭ももらえません。現実的かつ具体的な目標設定が鍵です。 - 経費の支払いは原則振込
現金払いは原則認められません。きちんと証拠が残る方法で支払いましょう。 - 助成対象期間内の支出のみ
交付決定日以降の支出が対象です。 - 経理処理は別口座で
助成事業の経費は、普段の経費と混ぜないでください。
よくある質問(FAQ)
本制度に関して、多くの企業から寄せられる質問について回答します。これらの情報は、申請を検討する際の参考になるでしょう。
申請に関する質問
Q1: 他の公的機関の助成金と併用できますか?
A1: 同一のテーマ・内容で他の公的機関から助成を受けることはできません。ただし、異なるテーマであれば併用可能です。申請前に必ず確認することをおすすめします。
Q2: 申請書の書き方がわかりません。サポートはありますか?
A2: 公社のウェブサイトに記入例が掲載されています。また、必要に応じて公社の担当者に問い合わせることも可能です。丁寧に対応してくれるので、遠慮なく相談するとよいでしょう。
経費に関する質問
Q3: 開発に必要な設備の購入は対象になりますか?
A3: 開発に直接必要な機械装置・工具器具の購入費は対象となります。ただし、汎用性の高いパソコンなどは対象外です。購入を検討している設備が対象となるか不明な場合は、事前に確認することをお勧めします。
Q4: 人件費はどこまで計上できますか?
A4: 開発に直接従事する従業員の人件費は計上可能です。ただし、役員報酬や間接的な業務に係る人件費は対象外です。また、計上できる金額には上限があるので注意が必要です。
その他の質問
Q5: 開発中の製品を展示会で発表してもいいですか?
A5: 展示すること自体は問題ありませんが、販売行為(受注を含む)は助成事業完了前には行えません。展示の際は、「開発中」であることを明示し、販売や受注行為を行わないよう注意が必要です。
Q6: 事業期間中に計画変更はできますか?
A6: やむを得ない事情による変更は可能ですが、事前に公社の承認が必要です。ただし、事業の根幹に関わる大幅な変更や、設定した達成目標の変更は認められません。変更が必要な場合は、速やかに公社に相談することをお勧めします。
まとめ
この制度は、新しい分野への挑戦を考えている都内中小企業にとって、大きなチャンスとなります。ただし、申請から実施まで注意すべき点も多いため、十分な準備と計画が重要です。特にアドバイザリー会議のタイミングには注意し、早めの準備を心がけましょう。
不明点があれば、早めに公社に相談することをお勧めします。この制度を活用し、ぜひ新たな成長の機会をつかんでください。