はじめに
国際情勢の変動による原油価格の高騰や、エネルギー供給の不安定化に伴い、都内中小企業の経営が不安定化しています。この状況を踏まえ、東京都は「オフィスビル等のエネルギー効率化による経営安定事業」を実施しています。この記事では、本事業の概要と申請方法について詳しく解説します。
1. 事業の目的
本事業の主な目的は以下の2点です:
- 都内中小企業の経営基盤の安定化
- 都全体のエネルギー消費量の大幅削減
これらの目的を達成するため、都内のオフィスビル等の省エネ化・創エネ化を推進します。
2. 対象となる事業者
以下の条件を満たす中小企業者(個人事業主含む)が対象となります:
- 都内にオフィスビル等を所有していること
- 以下の2点をいずれも満たすこと:
- 当該オフィスビル等のテナントに中小企業が入居していること
- 当該オフィスビル等の年間エネルギー使用量(原油換算値)が、原則として1,500KL未満であること
※年間エネルギー使用量(原油換算値)の計算方法については、クールネット東京のウェブサイトをご参照ください。
3. 支援内容
本事業では、以下の2つの支援を提供しています:
3.1 専門家派遣
- 内容: エネルギー効率化の専門家がオフィスビル等を訪問し、現地調査と助言を行います。
- 費用: 無料
- 回数: 1社あたり最大2回まで
3.2 助成金支援
- 対象: 専門家派遣を受けた事業者
- 内容: 省エネルギー診断報告書に基づく省エネ設備の導入等に関する経費の一部を助成
- 助成限度額: 3,000万円(申請下限額100万円)
- 助成率: 助成対象経費の3分の2以内
- 助成期間: 交付決定日の翌日から1年間
助成対象経費の例:
- 高効率空調設備
- 高効率照明器具
- 高効率給湯設備
- デマンド監視装置
- その他、省エネ化・創エネ化に関する設備
4. 申請方法
4.1 専門家派遣の申請
受付期間: 令和6年4月15日(月)9:00 ~ 令和6年6月28日(金)16:30
※予算に達し次第、申込受付を終了する場合があります。
4.2 助成金の申請
- 以下のいずれかの省エネルギー診断を受ける:
- (公財)東京都中小企業振興公社の「専門家派遣(省エネルギー診断)」
- クール・ネット東京の「省エネルギー診断」(省エネコンサルティング含む)
- 一般財団法人省エネルギーセンターの「省エネ最適化診断」
- 診断報告書に基づいて助成金を申請
申請期限: 令和6年10月31日(木)16:30
交付決定(予定): 令和7年1月下旬以降
5. 注意事項
- 専門家派遣の実施日は、日程調整の関係で希望より遅れる場合があります。
- 助成金の対象となる設備等は、原則として省エネルギー診断の報告書に記載されているものに限ります。
- 申請前に必ず最新の募集要項を確認してください。
6. よくある質問(FAQ)
本事業に関してよくある質問とその回答をまとめました。
Q1: 本事業の目的は何ですか?
A: 本事業の目的は、都内にオフィスビル等を所有する中小企業者がビルの省エネ化、創エネ化に取り組むことを支援し、入居する都内中小企業の光熱費等の負担を減らすことです。これにより、都内中小企業の経営基盤を安定化させるとともに、都全体のエネルギー消費量を大幅に削減することを目指しています。
Q2: 専門家派遣と助成金の関係を教えてください。
A: 専門家派遣を利用された事業者は、本事業の助成金に申請いただけます。ただし、助成金の申請は任意です。専門家派遣のみの利用も可能です。
Q3: 助成金の申請に必要な省エネルギー診断は、どこで受けられますか?
A: 以下のいずれかの機関で受けることができます:
- (公財)東京都中小企業振興公社の「専門家派遣(省エネルギー診断)」
- クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)の「省エネルギー診断」
- 一般財団法人省エネルギーセンターの「省エネ最適化診断」
なお、診断は実施から3年以内のものに限ります。
Q4: 都外に法人登記していますが、オフィスビル等は都内に所有しています。申込できますか?
A: はい、申込可能です。募集要項の資格要件を満たしていれば対象となります。都内にオフィスビルを所有していることが重要な条件です。
Q5: 一般社団法人や一般財団法人は申込できますか?
A: 申し訳ありませんが、一般社団法人や一般財団法人は対象外となります。申込いただけるのは、会社(株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、有限会社)及び個人事業者のみです。
Q6: 複数のビルを所有していますが、1回目と2回目で2つのビルを診断してもらうことは可能ですか?
A: 申し訳ありませんが、本事業は1事業者につき1事業所に限ります。そのため、1つのビルに限定されます。
Q7: 助成金の対象となる経費について、具体的に教えてください。
A: 省エネルギー診断等の報告書に記載された設備改善等に必要となる経費の一部が対象となります。例えば、以下のようなものが含まれます:
- 高効率空調設備
- 高効率照明器具(LED)
- 高効率変圧器
- デマンド監視装置
- BEMS(ビルエネルギー管理システム)
- 高効率給湯設備
- 太陽光発電システム(創エネルギー化)
Q8: 専門家派遣の際に、会社の代表者が同席する必要がありますか?
A: 必ずしも代表者の同席は必要ありませんが、専門家からのヒアリング事項に回答できる方がご同席ください。今後の事業の意思決定にかかわる内容が含まれますので、可能であれば代表者や役員の方々にご同席いただくことをお勧めします。
まとめ
本事業は、都内中小企業の経営安定化とエネルギー効率の向上を支援する重要な取り組みです。対象となる事業者の方は、ぜひこの機会を活用し、省エネ化・創エネ化を進めてください。詳細や不明点については、(公財)東京都中小企業振興公社にお問い合わせください。