【2024年度】製品改良・認証取得の費用を半額補助!東京都の助成金制度を徹底解説

製品の改良や認証取得にかかる費用の負担を軽減できる支援制度をご存知ですか?東京都では、中小企業の競争力強化を支援するため、製品改良や認証取得にかかる費用の最大50%(上限500万円)を補助する助成金制度を実施しています。本記事では、2024年度の申請要件やポイントを分かりやすく解説します。

目次

1. 制度概要

この助成金制度の特徴

  • 補助率:対象経費の2分の1以内
  • 補助上限:500万円(下限額50万円)
  • 申請受付期間:令和6年9月17日(火)~9月30日(月)17時まで
  • 実施期間:最長2年9ヶ月(プロジェクト区分により異なる)

本制度の最大の特徴は、以下の3点です:

  1. 幅広い支援対象
    • 製品の機能強化や性能向上
    • 量産化に向けた設計改良
    • 各種規格・認証の取得費用
    • 試験評価費用や人件費も対象に
  2. 柔軟な活用が可能
    • ハードウェアだけでなくソフトウェアの改良も対象
    • 製品単体の認証だけでなく、ISO等の組織認証も対象
    • 国内向け・海外向け両方の認証取得に対応
  3. 充実した補助内容
    • 直接人件費は最大350万円まで補助対象
    • 外注費や専門家への相談費用も対象
    • 必要な機器のリース料も補助対象に

支援対象となる事業者

以下の要件を満たす中小企業が対象です:

  1. 企業規模による要件
    • 製造業:資本金3億円以下または従業員数300人以下
    • 卸売業:資本金1億円以下または従業員数100人以下
    • 小売業:資本金5,000万円以下または従業員数50人以下
    • サービス業:資本金5,000万円以下または従業員数100人以下
  2. 所在地要件
    • 東京都内で実質的に1年以上事業を行っていること
    • 都内に本店または支店があること
  3. その他の要件
    • 助成対象の製品が自社開発したものであること
    • 大企業が実質的に経営に参画していないこと
    • 暴力団関係者でないこと

2. 支援対象となる3つのプロジェクト

本制度では、事業内容に応じて3つの申請区分が用意されています。自社のニーズに合わせて最適な区分を選択できます。

A.【製品改良プロジェクト】

市場ニーズに合わせた製品改良を行うためのプロジェクトです。

対象となる取り組み例:

  • 製品の機能追加・強化
  • 操作性の向上
  • 省電力化・低コスト化の実現
  • 小型化・軽量化
  • 量産化に向けた設計改良

実施期間: 令和7年2月1日から1年9ヶ月以内

B-1.【規格適合・認証取得プロジェクト – 製品改良目標無】

既存製品の規格適合や認証取得を目指すプロジェクトです。

対象となる取り組み例:

  • CEマーキング適合
  • ISO認証取得
  • 各種安全規格への適合
  • 医療機器認証の取得

実施期間: 令和7年2月1日から1年9ヶ月以内

B-2.【規格適合・認証取得プロジェクト – 製品改良目標有】

製品改良と規格適合・認証取得を併せて行うプロジェクトです。

対象となる取り組み例:

  • 海外展開に向けた製品改良とCE規格適合
  • 医療機器参入のための製品改良とISO13485取得
  • 省エネ性能向上と環境認証取得

実施期間: 令和7年2月1日から2年9ヶ月以内

3. 助成対象となる経費

助成対象経費は「製品改良費」と「規格認証費」の2つに大きく分類されます。それぞれの対象経費と利用時の注意点を詳しく見ていきましょう。

製品改良費の対象項目

  1. 原材料・副資材費
    • 試作・評価用の材料費
    • 部品・電子部品等の購入費
    • テスト用の消耗品
    ※注意点:助成期間内に使用する分のみが対象です。未使用分は補助対象外となります。
  2. 機械装置・工具器具費(上限なし)
    • 測定・検査機器の購入費
    • 試作用の設備費用
    • 開発用ソフトウェアのライセンス料
    ※注意点:100万円以上の物品は原則2社以上の見積もりが必要です。
  3. 直接人件費(上限350万円)
    • 製品改良に直接従事する従業員の人件費
    • 設計・開発作業に係る工数分
    ※注意点:作業日報等での工数管理が必須です。
  4. 委託・外注費/専門家指導費(上限なし)
    • 外部機関への試験委託費
    • 設計・製作の外注費
    • 専門家からの技術指導費用
    ※注意点:全部または大部分の外注は認められません。
  5. 産業財産権出願・導入費
    • 特許出願関連費用
    • 実用新案の出願費用
    • 必要な特許のライセンス料
  6. 賃借料(上限150万円)
    • 開発スペースの賃借料
    • 実証実験場所の使用料

規格認証費の対象項目

  1. 認証取得関連費用
    • 認証機関への申請費用
    • 審査料・登録料
    • 適合性評価費用
    ※注意点:更新審査料は対象外です。
  2. 試験評価費用
    • 規格適合のための試験費用
    • 評価サンプルの製作費
    • 外部機関での試験費用
  3. コンサルティング費用
    • 認証取得のための専門家費用
    • 技術文書作成支援費用
    • 社内体制構築の指導費用

4. 申請から交付までの流れ

申請前の準備

  1. GビズIDの取得
    • 申請にはGビズIDプライムアカウントが必須
    • 取得に2~3週間かかるため早めの準備を推奨
  2. 必要書類の準備
    • 登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
    • 納税証明書
    • 直近2期分の決算書類
    • 製品説明資料
    • 見積書(必要な場合)

申請~交付までのスケジュール

  1. 申請受付期間
    • 令和6年9月17日(火)~9月30日(月)17時まで
    • jGrantsでの電子申請のみ受付
  2. 審査プロセス
    • 一次審査(書類審査):11月末~12月初旬
    • 二次審査(面接):12月17日~19日
    • 採択通知:令和7年1月下旬予定
  3. 事業実施
    • 交付決定後から事業開始可能
    • 定期的な遂行状況報告が必要
    • 中間検査の実施
  4. 完了検査と助成金交付
    • 実績報告書の提出
    • 完了検査の実施
    • 助成金額の確定
    • 助成金の交付

5. 活用事例と成功のポイント

製品改良の活用事例

  1. 測定機器メーカーのケース
    • 課題: 海外市場での競争力強化
    • 取組内容:
      • 消費電力30%削減
      • 操作パネルの多言語対応
      • 製品サイズの20%小型化
    • 助成金活用: 350万円
    • 成果: 欧米向け出荷台数が前年比150%に増加
  2. ソフトウェア開発企業のケース
    • 課題: ユーザビリティの向上
    • 取組内容:
      • UI/UXの全面刷新
      • 処理速度の50%向上
      • クラウド連携機能の追加
    • 助成金活用: 450万円
    • 成果: 契約更新率が85%から95%に向上

認証取得の活用事例

  1. 医療機器分野への参入企業のケース
    • 課題: 医療機器製造販売の認証取得
    • 取組内容:
      • ISO13485取得
      • QMS体制の構築
      • 製造工程の見直し
    • 助成金活用: 500万円
    • 成果: 医療機器製造販売業許可を取得
  2. 電機メーカーのケース
    • 課題: EU市場への本格参入
    • 取組内容:
      • CEマーキング取得
      • RoHS指令への適合
      • 技術文書の整備
    • 助成金活用: 380万円
    • 成果: EU市場での売上が前年比200%に成長

申請時の注意点

  1. 達成目標の設定
    • Good例:
      • 「消費電力を30%削減」
      • 「処理速度を50%向上」
    • Bad例:
      • 「製品の性能を向上」
      • 「使いやすさを改善」
    ※具体的な数値目標を設定することが重要です
  2. スケジュール管理
    • Good例:
      • 月単位での詳細なスケジュール作成
      • マイルストーンの明確化
    • Bad例:
      • おおまかな工程のみの記載
      • 期限のない作業計画
    ※実現可能な計画を立てることが重要です
  3. 経費計上の注意点
    • 適切な例:
      • 専用の試作設備の購入
      • 技術指導の委託費用
    • 不適切な例:
      • 汎用PCの購入
      • 通常の営業活動費用
    ※助成事業に直接必要な経費のみが対象です

申請成功のための3つのポイント

  1. 事前準備を万全に
    • 申請書類の早期準備
    • GビズIDの事前取得
    • 見積書の取得時期に注意
  2. 具体的な数値目標の設定
    • 達成状況が客観的に判断できる目標設定
    • 市場ニーズに基づいた改良ポイントの明確化
    • 実現可能な目標値の設定
  3. 実施体制の明確化
    • 社内の役割分担の明確化
    • 外部協力機関との連携体制の構築
    • プロジェクト管理者の明確な設定

最後に

この助成金制度は、製品改良や認証取得に取り組む中小企業にとって、非常に有効な支援策となっています。ただし、申請から実施、完了までの一連のプロセスでは、綿密な計画と適切な進捗管理が求められます。

本記事で解説した内容を参考に、自社の状況に合わせた活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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