能登半島地震で被災された事業者の皆様へ
未曾有の災害に直面し、様々な困難に立ち向かわれていることと存じます。事業の再建に向けて、一歩一歩前に進もうとされている皆様の勇気と努力に、心からの敬意を表します。このような厳しい状況の中、少しでも早く営業を再開したい、しかし資金面での不安がある—そんな思いを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そんな皆様に、ぜひ知っていただきたい支援制度があります。
「営業再開支援補助金」—これは、被災された事業者の皆様の早期の営業再開を後押しするために特別に設けられた補助金制度です。
最大300万円の補助、小規模事業者であれば費用の3分の2まで補助されるこの制度は、皆様の事業再建の大きな力となるはずです。
本記事では、この営業再開支援補助金について、申請方法から活用のポイントまで、できる限り分かりやすく解説いたします。
一日も早く皆様の事業が再開され、地域の復興に繋がることを願いつつ、この情報が少しでもお役に立てれば幸いです。
1.営業再開支援補助金の概要
1.1 補助金の目的
皆様、令和6年能登半島地震で被災された事業者の方々、営業再開に向けて奮闘されていることと思います。この「営業再開支援補助金」は、まさにそんな皆様の力強い味方となるべく創設されました。
本補助金の最大の特徴は、とにかく「早期の営業再開」にフォーカスしている点です。例えば、仮設店舗の設置や必要機器の購入など、明日にでも営業を再開できるような取り組みを重点的に支援します。通常の復興支援補助金が本格的な事業再建を目指すのに対し、この補助金は「とりあえず営業を再開する」ための即効性のある支援なのです。
1.2 補助対象者
さて、この補助金を受けられるのは誰なのか、具体的に見ていきましょう。以下の3つの条件を全て満たす事業者が対象です
- 令和6年能登半島地震で「半壊以上」の被害を受けた石川県内の事業所を持つこと
- 中小企業者(小規模事業者含む)であること
- 地元等での事業再建計画を策定していること
ここで特筆すべきは、被害の程度が「半壊以上」と明確に定義されている点です。例えば、壁に少しヒビが入った程度では対象外となります。この明確な基準により、真に支援を必要とする事業者に的確に補助金が行き渡るよう設計されているのです。
また、「事業再建計画の策定」が条件となっている点も見逃せません。これは、単なる現状回復ではなく、将来を見据えた再建を促す狙いがあります。
1.3 補助内容(補助上限額・補助率)
では、具体的にいくら補助されるのでしょうか。内容は以下の通りです
- 補助上限額:300万円
- 補助率:
- 小規模事業者:なんと2/3以内!
- 中小企業:1/2以内
例えば、小規模事業者が300万円の事業を行う場合、最大200万円の補助が受けられるのです。
本補助金のもう一つの特徴は、小規模事業者と中小企業で補助率に差を設けている点です。これは、より経営基盤の脆弱な小規模事業者への配慮が反映されたものです。小規模事業者の方々、この機会をぜひ活用してください!
2.補助対象事業と経費
2.1 補助対象となる事業
本補助金が対象とする事業は、皆様の事業再建計画に基づいた営業再開のための取り組みです。具体的には以下のような事例が挙げられます
- 仮店舗や仮事務所、仮作業場等の設置・整備 例:プレハブやコンテナを利用した仮設店舗の設置
- 既存店舗等の片付けのための保管用倉庫等の整備 例:被災した店舗の設備を一時保管するための倉庫レンタル
- キッチンカー用の車両の購入 例:移動販売車としてのキッチンカーの購入
- 営業再開のためのパソコン等の機器の購入(条件付き) 例:被災で使用不能となったPCの代替機購入
特筆すべきは、キッチンカーの購入が対象となっている点です。これにより、固定の店舗再建が難しい場合でも、機動的に営業を再開できる可能性が広がります。飲食業の方々、この選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
2.2 補助対象経費の詳細
補助対象となる経費は主に以下の3つのカテゴリーに分類されます
- 施設等整備費
- 仮店舗等としてのコンテナ等の設置費用
- 仮作業場等の簡易な建築物等の建築費用
- 仮倉庫の設置費用
- 車両購入費
- キッチンカー等の仮店舗として機能を有する車両の購入費用
- 機械装置費
- 営業再開に必要なPCや複合機等の購入費用(条件付き)
ここで注目すべきは、中古物件の購入も補助対象となっている点です。例えば、中古のコンテナや中古のキッチンカーを購入しても、補助の対象となるのです。これにより、より低コストでの事業再開が可能となり、皆様の負担軽減につながります。
ただし、機械装置費には注意が必要です。補助上限は30万円で、1事業者1台までという制限があります。また、機械装置費のみの申請はできません。これらの条件を踏まえて、申請を検討してください。
2.3 補助対象外となる経費
一方で、以下のような経費は補助対象外となります
- 既存施設の修繕費
- 消耗品・事務用品の購入費
- 賃借料やレンタル料
- ソフトウェアの購入費や更新料
特に注意が必要なのは、既存施設の修繕費が対象外である点です。例えば、被災した店舗の壁の補修や床の張り替えなどは、この補助金では賄えません。本補助金は早期の営業再開を目的としているため、新たな仮設施設等の整備に焦点を当てているのです。
既存施設の修繕については、別途「なりわい再建支援補助金」等の活用を検討してください。複数の補助金を組み合わせることで、より効果的な事業再建が可能となります。
以上が、営業再開支援補助金の概要と補助対象事業・経費の詳細です。この補助金の特徴を理解し、適切に活用することで、皆様の迅速な営業再開が実現できるはずです。ぜひ、この機会を最大限に活用し、一日も早い事業の復興を目指してください!
3.申請手続きと審査プロセス
3.1 申請スケジュール
皆様、申請のタイミングは非常に重要です。以下のスケジュールをしっかりと押さえておきましょう
- 申請受付開始:令和6年6月21日(金)
- 1次受付締切:令和6年7月19日(金)
- 2次受付締切:令和6年8月23日(金)
- 3次受付締切(最終):令和6年9月27日(金)
注目ポイントは、複数回の締切が設定されていることです。これにより、準備が整い次第申請できるようになっています。ただし、予算には限りがありますので、できるだけ早い回での申請をおすすめします。
3.2 必要書類と提出方法
申請には以下の書類が必要となります
- 交付申請書(第1号様式-1〜4)
- 宣誓・同意書(第1号様式 別紙1)※自筆署名が必要
- 役員等名簿(第1号様式 別紙2)
- 経費明細(第1号様式 別紙3)
- 直近2期分の決算書等
- 被災証明書等
- 見積書、カタログ等
特に注意が必要なのは、被災証明書です。市町村から取得する必要がありますので、早めに手続きを始めましょう。
提出方法は郵送のみです。締切日の当日消印有効ですが、余裕を持って投函することをおすすめします。
3.3 採択審査の方法
採択審査は非公開で行われ、提出書類のみで判断されます。主な審査基準は以下の通りです
- 必要な提出資料がすべて揃っていること
- 公募要領の要件に合致していること
- 営業再開に向けた取組として適切であること
審査結果は全申請者に通知されます。採択された場合、事業者名等が公表される可能性がありますので、ご了承ください。
4.補助金交付後の注意点
4.1 実績報告の重要性
補助金を受け取った後も油断は禁物です。実績報告は極めて重要で、以下の点に注意が必要です
- 報告期限:事業完了から1ヶ月以内または令和7年2月28日のいずれか早い日
- 必要書類:実績報告書、支出の証拠書類、成果物の写真等
一つでも書類が不足すると、補助金の辞退とみなされる可能性があります。慎重に準備しましょう。
4.2 補助金の確定と支払い
実績報告後、補助金事務局による検査が行われます。条件に適合すると認められた場合、補助金額が確定し、支払いが行われます。
注意点として、補助金は後払い(精算払)のみです。つまり、いったん自己資金で支出し、後から補助金が支払われる仕組みになっています。資金繰りには十分ご注意ください。
4.3 財産処分の制限
補助金で取得した財産には、一定期間の処分制限があります
- 対象:取得価格50万円(税抜)以上の財産
- 期間:取得から5年または本復旧までの期間のいずれか短い方
この期間内に財産を処分(売却、廃棄等)する場合は、事前に承認が必要です。無断処分は補助金の返還につながる可能性があるので、十分注意しましょう。
5.補助金活用のポイントと留意事項
5.1 他の補助金との併用可能性
本補助金は、他の補助金との併用が可能です。ただし、以下の点に注意が必要です
- 同一の経費に対して複数の補助金を充当することはできません
- 補助対象経費を明確に区分できる場合のみ併用可能
例えば、仮設店舗の購入は本補助金で、内装工事は持続化補助金で、といった使い分けが可能です。複数の補助金を上手く組み合わせることで、より効果的な事業再建が可能になります。
5.2 申請時の注意点
申請時には以下の点に特に注意しましょう
- 同一事業者からの申請は1件のみ
- 共同申請の場合、代表者を決定し、役割分担を明確にすること
- 申請内容に虚偽がある場合、補助金の返還を求められる可能性があります
また、申請書類の作成には十分な時間をかけ、記入漏れや誤記がないよう、複数回のチェックをおすすめします。
5.3 補助事業実施における留意事項
最後に、補助事業を実施する上での留意点をまとめます
- 交付決定前に発注・契約、購入、支払を行った経費は原則対象外です (ただし、令和6年1月1日以降の経費は遡及適用可能)
- 補助対象経費の支払は原則銀行振込とし、1取引10万円超(税抜)の現金支払は不可
- 補助事業に関する書類は、事業完了後5年間の保存が必要です
- 事業完了後も、状況報告を求められる可能性があります
6.無料相談窓口のご案内
補助金を有効に活用して事業回復を目指したいという事業者様に向けて無料相談窓口を設置しております。ご質問は、お気軽に無料相談窓口までお問い合わせください。
専門スタッフが、導入に関するアドバイスや補助金制度の申請方法などについて、丁寧に説明いたします。