現代の物流業界は、効率化と自動化の波によって、大きな変革期を迎えています。その中心にあるのが、自動倉庫システムです。このシステムは、人の手をほとんど借りずに商品の保管からピッキング、梱包に至るまでのプロセスを自動化し、物流の未来を塗り替えつつあります。
では、なぜ今、自動倉庫がこれほどまでに注目を集め、多くの企業にとって必須の技術となったのでしょうか?
本記事では、自動倉庫の基本概念から、そのメリット、導入することで企業が享受できる可能性、補助金の活用について、深く掘り下げていきます。
自動倉庫:物流の未来を担う革新的なシステム
概要
自動倉庫システムは、在庫の自動収納・回収を行う技術で、高度なソフトウェア、自動搬送システム(AS/RS)、センサー、およびデータ分析ツールを組み合わせています。特徴には、スペースの最適化、高速な商品の取り扱い、精度の向上、作業員の安全性の確保があります。メリットとして、作業効率の向上、在庫管理の正確性、運用コストの削減が挙げられます。価格帯は、システムの規模、カスタマイズの度合い、導入する技術の種類によって大きく異なり、数十万円から数億円の範囲で変動します。
自動倉庫の主な種類
- AS/RS(Automated Storage and Retrieval System):高層ラックに保管された商品を、自動で搬入・搬出するシステム
- AGV(Automated Guided Vehicle):無人搬送車を用いて、商品を自動で運搬するシステム
- RCS(Robotic Picking System):ロボットを用いて、商品を自動でピッキングするシステム
特徴
- 人手不足解消:人手をほとんど必要とせず、人手不足解消に貢献
- コスト削減:人件費や作業時間の削減によるコスト削減
- 24時間稼働による生産性向上:24時間稼働が可能
- 在庫管理の精度向上:自動化による在庫管理の精度向上
- 作業環境の改善:重労働や危険作業の削減による作業環境の改善
メリット
- 高い効率性: 人手を介さない自動化により、従来の倉庫よりも圧倒的な効率性を誇ります。
- 高い精度: ロボットや自動化システムによる正確な作業により、ミスや損失を大幅に削減できます。
- 高い拡張性: モジュール化されたシステムにより、必要に応じて倉庫の規模を拡張できます。
- 高いセキュリティ: 厳格なセキュリティ対策により、商品の安全性を確保できます。
- 高い柔軟性: 様々な商品やニーズに対応できる柔軟なシステム設計が可能です。
価格帯
- AS/RS: 数億円~数十億円
- AGV: 数千万円~数億円
- RCS: 数千万円~数億円
※価格帯は、システム規模、機能、メーカーなどによって大きく変動します。
導入事例
- Amazon: 世界中に多くの自動倉庫を保有し、効率的な物流を実現
- ユニクロ: 自動倉庫を導入し、商品のピッキング作業を自動化
- セブン-イレブン: 自動倉庫を導入し、店舗への配送を効率化
導入の検討ポイント
- 導入コスト: 導入コストは高額になるため、十分な費用対効果を検討する必要があります。
- システム規模: 必要なシステム規模を明確にする必要があります。
- 機能: 必要な機能を明確にする必要があります。
- 運用方法: 自動倉庫を効率的に運用するための方法を検討する必要があります。
自動倉庫:今後の展望・市場規模
自動倉庫は、今後も進化を続け、物流業界だけでなく、様々な業界に大きな変革をもたらしていくでしょう。AIやIoTなどの技術を活用することで、より効率的で高度な自動倉庫システムが実現されることが期待されています。
自動倉庫は、物流の未来を担う革新的なシステムです。 大型の設備投資ではありますが、その将来性の高さは他の製品よりも期待できるものとなります。
グローバルインフォメーションによると、世界における自動倉庫の市場規模について、2021年の79億5000万米ドル(9200億円)から年間9.2%のペースで拡大し、28年には147億1000万米ドル(1兆7022億円)に達するとの予測を明らかにした。
2024年:自動倉庫が対象の補助金が新たに制定
2024年に入り自動倉庫を対象経費に含める補助金が新たに制定されました。この制度の活用により、これまで以上の販路拡大が期待できるようになりました。
中小企業省力化投資補助金の概要
中小企業省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)という名称のこの補助金は人手不足に悩む事業者を対象に制定されています。
自動倉庫においては製造業、倉庫業、卸売業、小売業の事業者を対象に購入費用と導入経費(設置作業、運搬費、動作確認費用、マスタ設定等の導入設定費用など)が補助対象経費として認められています。補助額と補助率は以下の表のとおりで、販売単価をそのままで購入費用を約50%補助される内容となっています。よって販売する側にとっては大きなビジネスチャンスとなります。
補助金活用のメリット
- 導入費用の負担軽減
- 最新機種の導入促進
- 導入後のランニングコスト削減
- 競争力強化
従業員数 | 補助率 | 補助上限額 (事業者が大幅な賃上げを行う場合) |
5人以下 | 1/2以下 | 200万円 (300万円) |
6~20人以下 | 500万円以下 (750万円) | |
21人以上 | 1,000万円以下 (1,500万円) |
中小企業省力化投資補助金の想定事例
自動倉庫における想定事例やその効果については中小企業省力化投資補助金の事務局公式ページに資料が公開されています。以下はその内容になります。
※イメージ画像は当社の画像に置き換えています。
資料名:製品カテゴリ
販売店にとっての補助金活用メリット
自動倉庫導入には高額な費用がかかるため、販売店にとって補助金は顧客への提案力強化だけでなく、自社の収益にも大きく影響する重要な要素です。
1. 粗利率向上
補助金によって顧客の導入コストが削減されるため、販売店は従来よりも高い粗利率で自動倉庫を販売することができます。
• 粗利率向上のポイント
- 補助金分の利益を販売価格に反映
- システム構築や保守・運用などのサービスと組み合わせる
2. 受注率向上
競合との差別化ポイントとなり、補助金制度を活用できる販売店は受注率向上に繋げることができます。
• 受注率向上のポイント
- 競合との差別化
- 顧客への付加価値サービスの提供
- 補助金制度の積極的な情報発信
3. 市場占有率の向上
補助金制度を活用することで、潜在顧客へのアプローチが可能となり、新規顧客獲得に繋げることができます。
• 市場占有率向上のポイント
- 補助金対象となる顧客への積極的なアプローチ
- セミナーや展示会への参加
- 自社のホームページやSNSでの情報発信
4. 収益拡大
自動倉庫導入に伴い、システム構築や保守・運用などの収益機会も拡大します。
• 収益拡大のポイント
- 自動倉庫導入に伴うコンサルティングサービス
- システム構築・保守・運用サービス
- 周辺機器やソフトウェアの販売
5. 販売店のブランド力向上
補助金制度に精通している販売店は、顧客から信頼を得て、ブランド力向上に繋げることができます。
ブランド力向上ポイント
- 顧客への専門的なアドバイス
- 迅速かつ丁寧な補助金申請手続きの支援
- 自動倉庫導入に関する豊富な知識
補助金の活用は、販売店の収益向上に大きく貢献します。 粗利率向上、受注率向上、新規顧客獲得、収益拡大、ブランド力向上など、様々なメリットを享受することができます。
中小企業省力化投資補助金を活用する方法
販売店(メーカー含む)が中小企業省力化投資補助金を活用するにはこの補助金のルールを理解した上で正しい手順で活用を進めていきます。以下にその概要と詳細の記載と関連記事情報を添付します。
IT導入補助金をご存じの販売店であれば、IT導入補助金の流れを類似しているとお考えください。
中小企業省力化投資補助金の流れ
中小企業省力化投資補助金の流れは以下の通りです。
販売店は指定された工業会に対して製品審査申請を行う。
(必要書類など詳細情報は下記関連記事2をご参考ください。)
指定された工業会 | 一般社団法人日本物流システム機器協会 |
工業会mail | p-registration@jimh.or.jp |
工業会電話番号 | 03-6222-2001 |
申請された書類は工業会→補助金事務局→有識者委員会→中小企業庁という順に承認がされていきます。その後、工業会から証明書が発行されて正式に製造事業者としての登録申請が可能になります。
製造事業者として登録が完了した後は、補助金事務局が用意するカタログに製品を登録する。
(登録情報など詳細情報は下記関連記事2をご参考ください。)
カタログ登録された製品が正式に公開される。
カタログを見た購入希望の事業者が販売店に問い合わせを行い、事業者と販売店が共同で補助金を申請する。
関連記事2
参考資料
中小企業省力化投資補助金事務局公式ホームページ
補助金の活用支援
以上から補助金の活用は自動倉庫分野において大きな販売機会だと言えます。
補助金全般の特性として初めに申請された事業者が有利という特性があります。補助金事務局側も新しい補助金の基準となる事例を見つけたい、補助金の予算が豊富という要素があるからです。
今回、新たに制定された中小企業省力化投資補助金は自動倉庫がピンポイントに対象経費に含まれています。中小企業省力化投資補助金では今後、自動倉庫のような製品カテゴリーが300登録され、各カテゴリーごとに100種類の製品が登録される見込みとなっています。その製品カテゴリーの中でも自動倉庫においては初めの9カテゴリーに選定されていることを踏まえると日本経済にとって重要な製品である国からも認められているということです。
当社では販売店様の支援を開始しています。
類似スキームのIT導入補助金においても各販売店様の書類作成の実績を数百件あり、事業再構築補助金、ものづくり補助金といった難易度が高い補助金を年間170件以上支援している実績もあります。
そのため、補助金を活用したい事業者様、販売店様の双方のアプローチが可能です。
さらに中小企業省力化投資補助金においては関連グループ企業を通じて当社でも製品登録を進めているところです。
この記事をご参照された販売店様で中小企業省力化投資補助金を活用して自動倉庫の市場拡大を狙いたいというご要望がございましたら当社までお声掛けください。
お問い合わせは以下のURL全てから可能です。