はじめに
起業したいという思いはあるのに、何から始めたらいいかわからずに迷っている方も多いのではないでしょうか。私自身も起業を考える際に同じような悩みを抱えていました。
起業は一か八かというイメージは古く、今では多様な働き方の時代が始まりつつあるので起業もそのうちの一つだと考えるとそこまでリスキーに考えることはないかと思っています。
とはいえ、実際に大変な場面も失敗も多くあります。ただし
ここではあくまでの体験していないことに対する不安はあって当たり前で、同時に深く考えてもどうしようもないと伝えたいです。
この記事では、私の体験談も踏まえて、もう一度起業するのであればやっておいた方が良かったと感じた部分を4つの項目に分けて解説していきます。
起業前に知っておきたい4つの項目
- 起業アイデア
- 資金を貯める
- 資金調達
- 協力者の存在
起業アイデア
起業を目指す人々にとって、何をするか悩みますよね。それは未来を描いている想像の中で無限大なのでなかなか固まらないのもわかります。また、ぼんやりと起業はしたいが、具体的な事業案が思いつかないという方も多いかと思います。ここでは、起業アイデアを考える際の主な考慮点を掘り下げます。
自分が何ができるのか、何をしたいのかを確認しよう
既存の市場を見て、不足しているサービスや改善の余地がある商品を見つけることは、起業家にとっての大きなチャンスです。この部分では、市場調査の重要性と既存製品のギャップをどのように特定するかについて探ります。
スキル、経験の棚卸
- あなたの持つスキル、知識、経験をリストアップします。(できること=can)
- どのような活動に情熱を感じ、何に興味があるかを自問自答します。(実現したいこと=will)
- 上記2つの間にある差を理解する。(しなければならないこと=must)
これを日々少しずつ考えていることで実施しなければならないことが見えてきたり、反対に一時的な感情の上げ下げで決断を出してしまうことを防ぐことができます。
私も自身の近い年代からご相談をいただく際には話をしている中で、問題は案外自分の環境に対する不満が多いことも結構あります。上司の愚痴や会社の待遇などに対するヘイトから起業を考えてしまうケースは手段と目的に一貫性に欠けてしまうので、一度立ち止まってゆっくり考えてみることを勧めます。
できること=canを客観的にとらえる
客観的な自己評価を行う際には、社内外での成績や評価を具体的に分析することが重要です。ここでは、社内での成績、社外での評価、および自己のスキルを試す方法について検討します。
- 社内での成績と評価
- 社内での成績や評価を客観的に把握するためには、実際の業績、上司や同僚からのフィードバック、定期的な評価会議の結果などを参考にします。
- 特定のプロジェクトやタスクでの達成度、チーム内での役割や貢献度、目標達成に対する具体的な数値や成果を分析します。
- 社外での評価の獲得
- 社外での評価を得るためには、専門家からのアドバイスや外部セミナー、ワークショップへの参加が有効です。
- 業界団体やプロフェッショナルネットワークでの活動、公開講演、専門的な記事の執筆などを通じて、業界内での評価を高めることができます。
- 自己のスキルを試す方法
- クラウドワークスなどのフリーランスプラットフォームを利用することで、自身のスキルを社外の環境で試すことが可能です。
- このようなプラットフォームでは、様々なプロジェクトや仕事に応募し、実際の業務を通じてスキルを磨くことができます。また、クライアントからのフィードバックや評価を通じて、自身の能力を客観的に評価する機会を得ることができます。
資金を貯める
起業をする際に最も現実的な部分が資金になります。
起業には、初期費用や運転資金など、さまざまな費用がかかります。初期費用には、事務所の賃料や設備の購入費、広告宣伝費などが挙げられ、運転資金には、人件費や仕入れ費、経費などが挙げられます。
これらの費用をすべて自分で賄うためには、相当な資金が必要です。そのため、起業を考えているなら、まずは十分な資金を貯めておく必要があります。
起業に必要な資金はいくら?
2020年の2020年度の開業費用の平均額は989万円でした。これはすべての業種なので一概には言えませんね。私の場合は5万ぐらいだっと記憶していますのでピンキリですね。
例えば、一般的に飲食店では500万円~2,000万円、美容院では1,000万円~3,000万円、雑貨店などでは300万円~1,000万円など店舗型は物件を確保する分、初期費用は高くなります。居抜きでバーを始める場合は200万円~400万円ほどで開始されるイメージが多いです。
ノマドワーカーのような特定の場所でサービスをする必要がない場合、初期費用なはとんど必要が無かったりもします。
個人事業主ではなく、法人を設立する場合、以下のような費用が掛かります。
<株式会社の場合>
収入印紙代:4万円
定款の認証手数料:3万~5万円
謄本の発行手数料:約2千円
登録免許税:約15万円
<合同会社>
登録免許税も株式会社よりも低いので(定款も不要)約10万円
まずはざっくり費用を調査してみることでどれくらいの費用が必要かわかり、具体的な行動に移すことができます。必要な資金は思わぬ出費も視野に入れて考えることをお勧めします。
概ね、全費用の110%ほどの資金を考えておくと良いかと思います。
ただし、費用を全て自身で用意することは厳しい場合もありますし、実際には運転資金(最低3か月分は見てほしい)も必要になりますので、その際は資金調達ができます。
また、法人設立費用を半額にする裏技もあります。詳細は以下の記事をご参考ください。
資金調達
前項から多くの資金が必要になるので多くの場合は資金調達を行う場合が多いです。これは創業時には必要が無くても後々必要になる場合もありますし、資金には余力がある方がその後の事業の加速度合いが異なるので資金調達は推奨しています。
日本政策金融公庫が発表している業務統計年報令和元年版によると約95%の事業者が資金調達(新創業融資制度)を利用していることもわかります。
創業時は様々な制度で優遇されます。ここでは現実的な資金調達方法を紹介していきます。
※知人借入、銀行金庫からの融資、クラファン、ファンドからの投資は一般的ではないので除外します。
日本政策公庫
新創業融資制度
無担保・無保証人で利用可能な創業・スタートアップ支援のための融資制度です。この制度は、新たに事業を始める方や、事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象としています。
対象者には、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方が含まれ、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を持っていることが求められます。
- 対象者: 新創業融資制度は、新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象です。
- 自己資金の要件: 創業時に創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。
- 融資限度額: 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
- 申請手順: 融資の申し込みは、必要書類の準備、面談、現地確認などを含む複数のステップを経る必要があります。具体的な申請手順は、公庫のウェブサイトで確認することができます。
- 創業計画書の作成: 融資申請には、事業計画書の提出が必要です。これは融資の審査において重要な役割を果たします。計画書の作成には、ビジネスモデル、市場分析、財務計画などが含まれます。
新規開業資金
日本政策金融公庫の「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」は、特定の条件を満たす起業家を対象とした融資制度です。この制度は、新たに事業を始める女性、35歳未満の若者、または55歳以上のシニアの起業を支援することを目的としています。これらに該当す方は低利率なので負担が少なく借入が可能です。
特に、これらのグループは従来、民間金融機関からの資金調達において困難を経験することが多いため、政策金融による支援が提供されています。
- 対象者: 新規事業を開始する女性、35歳未満の若者、または55歳以上のシニアで、事業開始後約7年以内の方。
- 資金の使用目的: 新たに事業を始めるための設備資金や長期運転資金。建物等の更新に伴う一時的な施設賃借に必要な資金も含まれる。
- 融資限度額: 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
- 申請手順: 融資の申し込みは、必要書類の準備、面談、現地確認などを含む複数のステップを経る必要があります。具体的な申請手順は、公庫のウェブサイトで確認することができます。
- 創業計画書の作成: 融資申請には、事業計画書の提出が必要です。これは融資の審査において重要な役割を果たします。計画書の作成には、ビジネスモデル、市場分析、財務計画などが含まれます。
地方自治体の制度融資
地方自治体による制度融資は、中小企業や小規模事業者が資金調達を行う際に有効な方法です。この制度は、金融機関、信用保証協会、地方自治体が連携して提供するもので、特に信用力が乏しい創業時に活用できる場合があります。
制度融資の特徴
- 低コストでの借入: 地方自治体が利子補給や保証料助成を行うことで、低コストでの資金調達が可能になります。
- 信用保証協会の保証付き融資: 信用保証協会が融資の保証人となることで、事業者が融資を受けやすくなります。
- 原資預託: 地方自治体が金融機関に資金を預託し、金融機関が融資を行いやすくする支援を提供します。
制度融資の利用プロセス
- 金融機関への相談: 最初に、取引のある金融機関に相談し、制度融資について決定します。
- 自治体に融資あっせんの申し込み: 指定の金融機関から制度融資の案内があれば、申込書類を準備して自治体に申し込みます。
- あっせん書の発行: 自治体からあっせん書(紹介状)を発行してもらいます。
- 金融機関への融資申し込み: あっせん書を持って金融機関に融資を申し込み、信用保証協会の保証も同時に申し込みます。
- 審査と融資の実行: 金融機関と信用保証協会の審査を受け、審査に通れば融資が実行されます。
制度融資のデメリット
- 時間がかかる: 融資実行までに時間がかかります。申込から融資実行まで2ヶ月以上かかることが一般的です。
- 自己資金要件: 自己資金の割合が厳しく、融資額の一定割合を自己資金で賄う必要がある場合があります。
- 連帯保証人の徴求: 原則として経営者本人が保証人となりますが、地方自治体によっては連帯保証人が必要な場合もあります。
- 地方自治体ごとに異なる内容: 制度融資の内容は、地方自治体ごとに異なります。
制度融資は、低コストで資金を調達することが可能な一方で、申し込みから融資実行までに時間と手間がかかることが大きな特徴です。したがって、制度融資を利用する際は、十分な時間的余裕を持って手続きを進めることが重要です。全体の流れを事前に理解し、計画的に進めていくことが必須です。
制度融資の流れ
- 自治体の窓口で相談: まず自治体の窓口で制度融資の利用について相談します。
- 金融機関への申し込み: 指定された金融機関に融資の申し込みを行い、信用保証協会が保証を提供します。自治体によっては保証料の一部を補助してもらえることもあります。
- 審査: 金融機関と信用保証協会の審査を受けます。創業の場合、信用保証協会が事業場所に来て実地面談を行うことが一般的です。
- 融資の実行: 審査に合格すれば、融資が実行されます。
制度融資の利用時の注意点
- 時間と手間: 金融機関、信用保証協会、地方自治体の3者が関与するため、手続きに時間がかかります。融資の申請から実行までには、3ヶ月程度の時間を見積もる必要があります。
- 自己資金要件: 制度融資の利用には、自己資金の割合が求められる場合があります。自治体によっては融資額の一定割合を自己資金で賄う必要があることもあります。
- 連帯保証人の徴求: 経営者本人が保証人となりますが、場合によっては連帯保証人が求められることもあります。
- 地方自治体ごとに異なる内容: 地方自治体によって、制度融資の対象者条件、融資期間、利率、保証料率などが異なります。
地方自治体の制度融資は、中小企業や創業者にとって魅力的な資金調達方法ですが、各地方自治体の制度内容や申請手続きの詳細は異なるため、自身の事業所在地の自治体での具体的な条件を確認することが重要です
補助金・助成金
概要
補助金と助成金は、政府、地方自治体、その他の公的機関から提供される非返済型の資金です。これらの資金は、特定の条件を満たすプロジェクトや活動に対して支給され、返済の義務はありません。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援する補助金です。補助上限は通常枠で50万円、特別枠の場合はさらに高額です。補助率は2/3です。
項目 | 要件 |
概要 | 地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援することを目的としています。 |
補助金額 | 一般枠:50万円 その他の枠:200万円 ※インボイス特例に該当する場合、+50万円上乗せ |
補助率 | 2/3 |
補助対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費 |
申請枠 | 通常枠・賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠 |
基本要件 | ・販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。 ・商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること。 |
ものづくり補助金
この補助金は中小企業や小規模事業者が設備投資などの生産性向上に取り組むための支援を目的としています。製造業だけでなく、小売業やサービス業など幅広い業種が対象です。補助対象者は資本金や常勤従業員数によって定義されており、補助上限額は750万円〜1億円と大型の補助金となっています。
さらに創業・第二創業加点という項目があり「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」に関しては採択されやすくなります
項目 | 要件 |
概要 | 革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 | 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 ※通常類型の額を載せています。その他申請枠はさらに補助金額が高くなります。 |
補助率 | 1/2 ※小規模事業者、再生事業者は 2/3 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 ※単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
基本要件 | ・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。 (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加) ・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。 ・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。 |
補助金・助成金の申請プロセス
- 情報収集: 対象となる補助金・助成金の情報を収集します。ウェブサイト、公的機関の公告、情報誌などで情報を確認します。
- 適合性の確認: 自身のプロジェクトや活動が補助金・助成金の条件に適合するかを確認します。
- 申請書類の準備: 必要な申請書類を用意します。事業計画書、予算案、その他必要な書類が含まれます。
- 申請: 指定された方法で申請を行います。オンライン提出や郵送、直接持参など、申請方法は機関によって異なります。
- 審査: 提出された申請書類は審査されます。審査期間は数週間から数ヶ月に及ぶことがあります。
- 結果の通知: 審査結果が通知され、採択された場合は資金の受け取りとプロジェクトの実施に移ります。
補助金の注意点
- 申請手続きの複雑さ: 申請プロセスは複雑であり、詳細な書類の準備が必要です。
- 競争率の高さ: 多くの場合、補助金・助成金は限られた予算内で分配されるため、競争が激しいです。
- 条件の厳格さ: 補助金・助成金は特定の条件を満たすプロジェクトに限定され、条件を満たさない場合は支給されません。
協力者の存在
人とつながりを通じて協力関係にある方々は事業を行う上で最も重要かもしれません。事業が単独で完結することはないので、他社との協力関係は本質的なことだと感じています。
事業を運営するうえで困難に直面することはほぼないですし、人に関する問題も多いと耳にします。中には単独で前進し続けるパワフルな起業家もいらっしゃいますがそのような方でも周辺に協力してくれる方はいらっしゃるはずです。
また、起業が成功、軌道に乗ると自信と実績がついてきて協力してくれる方が弱く見える瞬間もあるでしょう。
男性の場合、酒、ギャンブル、女性に走る傾向が高いと周囲を見ていても思います。
その中で自身に共感してくれて、協力してくれる存在は何より重要だと気付く瞬間は必ず訪れるはずです。それはおそらく事業が傾いた時や大きな失敗をして時になるかと思います。
協力者の存在の大きさに気付くのは早いほど良いと思いますので周辺にいらっしゃる場合は関係構築を重視しましょう。
協力者は必ずしも特別なスキルを持つ人である必要はなく、日常生活の中での出会いや共感を持つ人々が、重要な支えとなることがあります。そのため、周囲の人々との関係構築を重視し、協力関係を築くことが重要です。
起業時点では周囲に協力者がいない場合も、事業運営を続けることで必ず現れる協力者は大事にしてください。
まとめ
起業への道は、不確実性や挑戦に満ちていますが、それは同時に大きな可能性も秘めています。
周囲の人々との協力関係を築くことが、この冒険的な旅の中で強力な支援となるでしょう。
それぞれの出会いやつながりは、予想外の方法であなたのビジネスを豊かにし、支えてくれます。
協力者との関係を大切にし、共に成長し、夢に向かって前進しましょう。